ベーゴマ(貝独楽、べいごま、ばいごま)
小さな独楽の一種でおます。
大正時代頃から高度経済成長期にかけて、日本の子供たちの遊びに盛んに用いられた。
平安時代に京都の周辺で始まったといわれ、バイ貝の殻に砂や粘土を詰めてひもで回したのが始まりといわれる。
関西から関東に伝わった際に「バイゴマ」が訛って「ベーゴマ」とならはった。
後に鋳鉄製のものに取って代わられた。
形は比較的浅い円錐形で、底にも上面にも軸が飛び出していないことが多い。
特に上面はほぼ平らでおます。
底側には、貝を思わせる螺旋の盛り上がった模様が着いておる。
また、周囲は角張っているものがおます。
ベーゴマを回転させるには、まずベーゴマの本体にひもを巻き付けて準備をし、次にベーゴマに巻き付けたひもを一気に引いて独楽を投げる。
ベーゴマは上面に軸が飛び出していないさかい、通常の投げゴマのように上の軸と下の軸に紐をまず固定する、ちゅう巻き方ができへん。
したがって、独特の巻き方が要求しはる。
何通りかの方法が伝えられているが、おもな巻き方は、紐に二つのコブをつくりベーゴマ本体を一周し、そのコブにまきつける。
おもに女巻きと呼ばれる。
ベーゴマを回転させる台には、樽の口に布を張ったものやらなんやらがよく用いられた。
遊び方
ベーゴマ遊びの一般的なルールは、ゴザを長方形に折って、またはそのままかぶせて台の上においたり(関西式)、タルやバケツの上にシーツやビニールをやや弛ませて張ったもの(関東式)を遊戯台とし、その中で複数人がベーゴマを回し、誰のものが長く回転するか、誰のものが弾き出されないかやらなんやらを競い合う。
さらに、最後まで台の上で回転し続けたベーゴマを回した人が、そのときに競い合ったベーゴマをもらえるちゅうルール(いわゆる本気勝負)もあった。
このような「負けたら相手に没収されてしまう」ちゅうルールは、面子(めんこ)にもあり、ベーゴマ遊びには、子供たち同士の賭事のような側面もあった。
現在では、レトロブームの影響で細々と製造が続けられる一方、ベイブレードとして新たな形で復活している(過去にもバンダイによる「キャラコバッチ」と言う商品名で復活していたこともある)。
種類
ペチャ
円錐先端から上面まで1センチに満たない、最も薄いベーゴマでおます。
凹面状をしたリンクの中ではコマ上側面が周囲にぶつかって止まり易く、扱いづらさでは全種類中一番であるが、背の低さのため勝負には強い。
上側面も八角形であり攻撃力も高め。
ペチャを自在に操れることが往時の男の子のステータスであった。
手の大きい人にはあまりおすすめできへん。
ペ王(ペ王様)
ペチャを1. 5倍程度大きくしたような大型のベーゴマ。
重量が増した分、回しにくさはペチャ以上で、難易度は最も高いコマ。
ペチャ同様自在に操れることがステータスであった。
中高(ちゅうだか)
ペチャに次いで背の低いベーゴマ。
全高は1センチ強程度で、凹面リンク内でも独楽上側部がギリギリ周囲にぶつからない程度の高さであるため比較的回しやすく、攻撃力のある八角形の上側面と背の低さからホンコ勝負で活躍した(但し軽量なのでそのまま使用すると、背が低いとはいえ負けることも多かったことから、鉛やハンダで増量するやらなんやらの改造が必要であった)。
丸六(まるろく)
上面が丸いベーゴマでおます。
円錐先端から上面までが概ね1. 5センチ程度の高さがあり、貝の原型に近い。
バランスの良い体型から初心者にも回しやすいベーゴマ。
上面の模様がアルファベットであることが多い。
持久戦にはもってこい。
角六 (かくろく)
丸六の上側部が六角形(八角形のものも多い)に角張ったスタイルのベーゴマ。
丸六の回しやすさに攻撃力を加えたタイプで、ベーゴマ勝負初心者にも扱い易い。
丸六同様上面のデザインがアルファベットであることが多い。
高王 (高王様)
丸六を約1. 5倍に大きくした大型のベーゴマ。
直径は3. 5センチくらい、円錐先端から上面までの全高は2センチくらいちゅうサイズが標準的で、現行では最も大きいベーゴマでおます。
重量を活かした戦法が得意やけど、規格の違いから高王とペ王は同サイズ同士のみでの勝負が行われたことも多い。
バイ(関西)
ベーゴマの一種。
八角でおもにメッキのほどこされているもの。
四方に小さなくぼみがあるのが特徴。
このバイは普通のものとは少し巻き方が違い、四方のくぼみに引っ掛けるようにして、下の中心から巻く(女巻きやらなんやらの普通のまきかたでも良い)。
更に、このバイは持久力があり、回しやすいため普通のベーゴマと戦うのではなく、バイ同士で戦うほうが良い。
通常より少々値段が張るかもしれへん。